日本の刀剣の起源は大陸から伝来した青銅製の銅剣であろうか。当初の銅剣は細身で主な用途は明らかに武器としての用途だった。しかし、青銅は脆弱で実戦には向かなかったといえる。
そのうえ、銅剣の伝来後、すぐさま大陸より鉄器文化と製鉄・鍛冶の技術が伝わってきた。鉄器、特に鉄剣の武器としての優位性は銅剣とは比べ物にならなかった。そのため、以後、銅剣は武器ではなく、祭祀に用いる祭器として広く伝播していった。
ただ、古代においては、銅剣と鉄剣の明確な区別はなされていなかった。現に奈良の石上神宮の宝刀である七支刀は、特異な形と刀身の金象嵌の文字からして鉄剣でありながら、武器ではなく儀式の場で用いた祭器という説が有力と思われる。
現在、一般的な日本刀の定義は、刀身に反りがあり、片刃の鉄製の剣をいう。武器として実戦的な形態になるまでには様々な様式を経てきたと考えられている。